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鉄道事業で発生する使用済みケーブルのリサイクルに関する研究開発を4月1日から開始 ~銅と被覆材の循環により、廃棄物を減らす仕組みの確立を目指します~

【本学研究者情報】

大学院工学研究科 応用化学専攻
准教授 熊谷 将吾
研究室ウェブサイト
researchmap

【概要】

国立大学法人東北大学(以下、東北大学)、東急株式会社(以下、東急)、東急電鉄株式会社(以下、東急電鉄)、三菱マテリアル株式会社(以下、三菱マテリアル)の4者は、鉄道事業で発生する使用済みケーブルのリサイクルに関する研究開発(以下、本研究開発)を2025年4月1日()から開始します。なお本研究開発は、独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)の令和7(2025)年度環境研究総合推進費に採択され、2028年3月までの3年間実施するものです。

本研究開発では、現状廃棄されている東急電鉄の電気設備のケーブルや線路脇の信号ケーブルをモデルケーブルとして、東北大学が主導して三菱マテリアルと共に開発してきた湿式剥離法の剥離原理(溶媒膨潤+衝撃付与)を応用し、銅線と被覆材に剥離する新たな湿式剥離法(以下、本技術)を開発します。今回対象となるケーブルは、鉄道独自の外環境に耐えられるよう強度に優れている一方で、被覆線は細く、既存の被覆線処理技術では銅線と被覆材それぞれを高純度に選別することが困難なため、使用済みケーブルからのリサイクル可能な資源として回収できる素材は限定的です。東急電鉄では、このような使用済みケーブルが年間で平均約10t発生しています。本技術により回収した銅線と被覆材を使用して、東急電鉄をはじめとする、鉄道業界で使用する再生ケーブルとしてリサイクルすることを目指し、さらには、リサイクルによるCO排出削減量および経済効果を定量化することで、将来の鉄道業界への波及効果を検証します。

本研究開発は、被覆線の湿式剥離法に関する研究?技術開発を先導してきた東北大学、脱炭素?循環型社会の実現に向け2022年3月に「環境ビジョン2030」を策定し、2030年までに廃棄物量10%削減を目指す東急、鉄道事業を通じて脱炭素?循環型社会の実現に向け、事業特性を活用した新たな価値創造?貢献などにより環境?社会課題の解決を目指す東急電鉄、銅をはじめとする非鉄金属の高度な製錬およびリサイクル技術を有する三菱マテリアルの、4者連携により実現しました。

本研究開発を通じて、鉄道事業のケーブルが再生ケーブルとしてリサイクル可能となり、将来的には鉄道業界、さらには他業界にも展開することで、可能な限り廃棄物を減らし、循環する仕組みの確立を目指します。

左から:線路脇に敷設されている信号ケーブル、有機溶媒によって膨潤した電線剥離の様子、湿式剥離法による剥離後の銅線と被覆材

【用語解説】

※ 湿式剥離法の剥離原理(溶媒膨潤+衝撃付与):有機溶媒にケーブルを浸漬すると被覆材が膨張(膨潤)します。その状態で金属などの小さなボールで衝撃を与えることで、銅線および被覆材を損傷させることなく、分離?剥離させることを「湿式剥離法」と呼んでいます。

詳細(プレスリリース本文)PDF

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院工学研究科
准教授 熊谷 将吾
TEL: 022-795-7210
Email: kumagai*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

東北大学大学院環境科学研究科
教授 吉岡 敏明
TEL: 022-795-7211
Email: yoshioka*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院工学研究科 情報広報室
担当 沼澤みどり
TEL: 022-795-5898
Email: eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)

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