2025年 | プレスリリース?研究成果
世界最高精度の分解能を持つ中性子イメージング手法開発 -水素?リチウム?ホウ素を含む製品の精密非破壊検査に期待-
【本学研究者情報】
〇国際放射光イノベーション?スマート研究センター 准教授 吉田純也
研究室ウェブサイト
【概要】
理化学研究所(理研)開拓研究本部齋藤高エネルギー原子核研究室の齋藤武彦主任研究員、アブドゥル?ムニーム国際プログラム?アソシエイト(研究当時、現光量子工学研究センター中性子ビーム技術開発チーム特別研究員)、東北大学国際放射光イノベーション?スマート研究センターの吉田純也准教授らの国際共同研究グループは、1マイクロメートル(?m、1?mは1,000分の1ミリメートル)よりも精細な世界最高精度の分解能を持つ中性子イメージング手法を開発しました。
本研究成果は、X線では可視化が困難だった水素[1]、リチウム[2]、ホウ素[3]を含む製品の精密非破壊検査に貢献すると期待されます。
今回、国際共同研究グループは、高い空間分解能を持つ荷電粒子飛跡検出技術を中性子イメージングに応用し、炭化ホウ素薄膜と蛍光飛跡検出器を組み合わせた中性子検出器を開発しました。この検出器の分解能を定量的に評価したところ、中性子イメージングデバイスの中で世界最高精度でした。
本研究は、科学雑誌『Scientific Reports』オンライン版(1月24日付:日本時間1月24日)に掲載されました。

開発した中性子イメージング手法の模式図
【用語解説】
[1] 水素
原子番号1の元素。燃焼させて熱を発生させたり、燃料電池を用いて電気を発生させたり、一時的に余剰になった電気エネルギーの貯蔵に使われたりするなど、将来のエネルギー戦略上の重要な物質として位置付けられている。中性子を散乱しやすい。
[2] リチウム
原子番号3の元素。携帯電話やノートPCなどの電源として広く普及しているリチウムイオン二次電池に利用されている。天然のリチウム中に約7.5%含まれるリチウム6原子核が中性子を比較的よく吸収する。
[3] ホウ素
原子番号5の元素。39ケルビン(K:絶対温度の単位)という比較的高い温度でも超伝導を示す二ホウ化マグネシウムに使われており、この物質は電力損失のない超伝導ケーブルの素材の候補とされている。天然のホウ素中に約20%含まれるホウ素10原子核が中性子を比較的よく吸収する。
【論文情報】
タイトル:Advancing Neutron Imaging Techniques to Highest Resolution with Fluorescent Nuclear Track Detectors
著者:Abdul Muneem, Junya Yoshida, Takehiko R. Saito, Hiroyuki Ekawa, Masahiro Hino, Katsuya Hirota, Go Ichikawa, Ayumi Kasagi, Masaaki Kitaguchi, Kenji Mishima, Jameel-Un Nabi, and Manami Nakagawa
掲載誌:Scientific Reports
DOI:10.1038/s41598-024-84591-x
問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学 国際放射光イノベーション?スマート研究センター
准教授 吉田純也(ヨシダ ジュンヤ)
Email: junya.yoshida.e5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学 国際放射光イノベーション?スマート研究センター 総務係
電話:022-752-2331
Email:sris-soumu*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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