2023年 | プレスリリース?研究成果
イネがマグネシウム濃度を維持するしくみの手がかりが見つかる ―植物のマグネシウム濃度恒常性に関与する分子の発見―
【本学研究者情報】
〇サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター 名誉教授 岩田錬
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- マグネシウムは植物にとって欠かせないミネラルです。本研究では、植物の根や葉がマグネシウムを獲得し維持するのに必須な分子としてOsRZF1というタンパク質を発見しました。
- 植物中のマグネシウム濃度を維持する仕組みは不明でした。今回発見したOsRZF1タンパク質はDNAなどの核酸に結合する種類のもので、こうしたタンパク質がマグネシウム濃度維持に関与していることを示したのは初めての発見です。
- 今後、OsRZF1タンパク質の働きを解明することで、マグネシウムが欠乏している農地での農業やマグネシウム肥料が少ない農業の実現に貢献すると考えられます。
【概要】
東京大学大学院農学生命科学研究科の小林奈通子准教授らのチームが、イネがマグネシウム濃度を維持する仕組みに関与する分子としてOsRZF1タンパク質を発見しました。これまで植物がマグネシウムを吸収?移行することに関する知見は集まっていましたが、濃度維持に関与する分子の発見で、マグネシウム濃度維持機構を解明する新たな展開が広がるものと期待できます。こうしたマグネシウムの吸収や輸送?濃度維持機構の仕組みが明らかになることで、マグネシウムが欠乏した農地でも育つ品種やマグネシウムを高濃度に蓄積させる品種の作成に役立つ情報を提供できると考えられます。

図1 突然変異イネの相対的なマグネシウム濃度の分布図。選抜した突然変異イネ(LMGC1)を矢印で示した。
問い合わせ先
<研究に関すること>
東北大学サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター
名誉教授 岩田錬
ren.iwata.b8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道に関すること>
東北大学サイクロトロン?ラジオアイソトープセンター
教授 渡部浩司
hwatabe*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
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