2022年 | プレスリリース?研究成果
ポリマーをナノ粒子形状に設計することで優れた抗菌性を発現することを発見 - 銀などの高価な金属元素を使わない抗菌性ナノ材料 -
【本学研究者情報】
〇大学院工学研究科 化学工学専攻
教授 長尾大輔
研究室ウェブサイト
【発表のポイント】
- 銀のように高価な金属元素を使わずに、抗菌性を発現する粒径200 nm以下のナノ粒子状ポリマーを合成することに成功。
- ポリマー表面にはプラス電荷を有する官能基が導入され、その導入荷電基の調整により抗菌性が発現。
- 開発したナノ粒子状ポリマーは水中でも安定で、長期保存が必要な水溶液系における菌体の増殖抑制に期待。
【概要】
金属の中には、銀や銅のように抗菌作用を示す元素があることは広く知られており、それらの金属粉体が練り込まれたプラスチックや繊維などの様々な抗菌製品があふれています。これらの金属は、ナノ粒子注1にすることで、抗菌性がさらに高まります。そのため近年ではナノ粒子状の抗菌材料が盛んに研究されています。
これに対して、プラス電荷を有する有機ポリマーにも、金属成分のような抗菌性があることは知られていました。東北大学大学院工学研究科の菅恵嗣准教授と長尾大輔教授らの研究グループは、キリンホールディングス株式会社との共同研究により、食品トレイなどによく利用される汎用的なポリマー材料であるポリスチレンを、ナノサイズで粒径を揃えて合成する技術を確立し(図1)、金属元素に依存しない抗菌性ナノ粒子の実現に成功しました。
本成果は、4月25日にACS Applied Bio Materials に掲載されました。

【用語解説】
注1. ナノ粒子:
大きさ(直径)が100 nm程度かそれ以下の粒子の総称。100 nmは1000万分の1メートルのこと。
問い合わせ先
< 研究に関して >
東北大学大学院工学研究科
教授 長尾 大輔
電話 022-795-7239
Email dnagao*tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
< 報道に関して >
東北大学工学研究科情報広報室
担当 沼澤 みどり
電話 022-795-5898
Email eng-pr*grp.tohoku.ac.jp
(*を@に置き換えてください)
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