2021年 | プレスリリース?研究成果
身分を超えた剣術の世界:江戸時代 『出羽国の庶民剣士―武田軍太「武元流剣術実録」の世界』を出版
【発表のポイント】
- 江戸時代は「士農工商」という厳しい身分制度があり、武術は武士だけの特権だと理解されてきました。
- 当時の歴史資料を解読すると、多くの百姓たちが剣術をならい、地域のなかに文化として定着したことがわかります。
- 本書では、百姓出身の武田軍太が書いた記録を紹介し、身分を超えた剣士たちの世界を明らかにしています。
【概要】
著者の平川新は、これまで、関東に多数の庶民剣士が存在したことを明らかにしてきました。本書で紹介した武田軍太著の「武元流剣術実録」は、出羽国にも庶民剣士が多数存在したことを証明し、江戸時代の身分制を理解するための一級史料です。
武田軍太は、百姓身分ながら剣術で身を起こし、文化13(1815)年に高畠藩の剣術師範となりました。武士の門人は同藩のほか、米沢藩士と仙台藩士も確認できます。庶民の門人は、軍太の本拠である高畠周辺および天童近在村々の農民たちで、およそ500人近くを数え、剣術が在村文化として広く定着していたことがわかります。

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