2020年 | プレスリリース?研究成果
熱を伝えにくい単結晶で電気を流しやすくすることに成功 マグネシウム錫化合物単結晶の熱電変換性能が50倍に
【発表のポイント】
- 多結晶より熱を伝えにくいマグネシウム錫化合物※1の単結晶に、電気伝導キャリアを導入することで多結晶より電気を流しやすくすることに成功した。
- マグネシウム錫化合物単結晶の熱電変換性能は50倍向上し、単結晶に点欠陥と電気伝導キャリアを導入することが高性能化の鍵であることを明らかにした。
【概要】
低炭素社会実現のため、熱電変換材料による発電が注目されています。熱電変換材料は熱エネルギーから発電できる材料です。これまでの研究で、多結晶より熱伝導率が低いマグネシウム錫化合物単結晶の作製には成功していましたが、熱電変換性能を左右する電気伝導率が低いことが課題として残っていました。
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻の齋藤 亘氏(博士後期課程学生)、黄 志成氏(博士後期課程学生)、林 慶准教授および宮﨑 讓教授は、清華大学(中国)の李 敬锋教授の研究グループと共同研究を行い、熱電変換材料として注目されているマグネシウム錫化合物の単結晶の熱電性能を50倍向上させることに成功しました。これにより、熱エネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング※2の実現にまた一歩近づきました。
本研究成果は、米国化学会発行の科学誌 ACS Applied Materials & Interfacesに2020年12月15日に掲載されました。
【用語解説】
※1 マグネシウム錫化合物
MgとSnがモル比2:1で化合した物質を指す。
※2 エネルギーハーベスティング
身の周りのエネルギーから電力を得る発電技術の総称。
問い合わせ先
<研究に関して>
林 慶(ハヤシ ケイ)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 准教授
電話:022-795-4637
E-mail:hayashik*crystal.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
宮﨑 讓(ミヤザキ ユズル)
東北大学大学院工学研究科 応用物理学専攻 教授
電話:022-795-7970
E-mail:miya*crystal.apph.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
<報道に関して>
東北大学工学研究科情報広報室 担当 沼澤みどり
電話:022-795-5898
E-mail:eng-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)